特攻のリアル

あからさまにこんなことを言うのもどうかと思いますが、わたしは自分の無知を知っています。それゆえ、小説を通してでも、今まで知らなかったことを学ぶのは好きです。

例えば過去の事件、戦争。
それらを知らない世代だからこそ、自分から知りたいと思わないと、何も学べない。

以前読んだ、百田尚樹氏の『永遠の0

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

塩田武士氏の『罪の声』

罪の声

罪の声

濱 嘉之氏の『カルマ真仙教事件』

カルマ真仙教事件(上) (講談社文庫)

カルマ真仙教事件(上) (講談社文庫)

それらはわたしに、小説という角度で、詳しく知らなかった事件や戦争を教えてくれた作品です。


今回手に取ったのは、鴻上尚史氏の『不死身の特攻兵』。

小説ではなく、事実を基にした新書なのですが、今回知ったことが多くありました。
そして、世間で知れ渡った“特攻隊"というイメージは、事実と反して歪められたものだということ。正直驚きました。


戦争を知らない世代。ところどころで、戦争のリアルを感じた。
どうして体当たりの特攻隊を生み出してしまったのか。恐ろしき、3つの死のツノ。


“技術を磨くことが、自分を支え、国のために尽くすことだと信じてきた。だが、「体当たり攻撃」は、そのすべての努力と技術の否定だった。"

「戦果」より「死ぬこと」が特攻の目的、というのは本当に心が痛みます。


本書を読みながら、数年前に知覧特攻平和会館(鹿児島)で見た、一式戦闘機「隼」や、展示された遺書が頭から離れませんでした。

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そして、あの遺書の裏にあった事実。本書を読んでこそ、知覧で見たものに、立体感が増した気がします。


現代でもしばしば聞く、「精神力」という言葉に警鐘を鳴らしています。

具体的な施策無しに、「精神で撃ち落とす」と言った東條英機首相。
普段はそこまで思わなかったけど、本書を読んだいま、その言葉の使い方と、その背景に大きな疑問を感じます。


特攻隊を美談にする人が、怖くなりました。どうしてそんなことができるのか。

本書を読み、様々なことを感じとってほしい。