夢を見つけるまでの軌跡

皆さんには「夢」はあるだろうか。
わたしはこの間まで、本当に見つけられなかった。


好奇心旺盛。これは、わたしの特徴である。
興味があるものはすぐ試す。気になるものは、すぐに買ってみる。
これで家計は苦しんでいるけれど、それでも良いと思っていた。


気になるものは、気になったそのときが1番熱があるのだ。
あとはきっと、下がっていくだけ。


ほしいものはすぐ買ってしまう。
だから、「~を買うために頑張っている」みたいな人を見ると、いつも不思議な気持ちになった。買えば良いじゃん、と思っていた。
ほしいんでしょ? いま買わないと勿体ないじゃん。
ずっとそう思っていた。

 


数ヶ月に1度、職場で面談がある。
その際に聞かれて困ったことは、いつも同じ。
「数年後、こうなりたいとか、夢とかある?」という質問である。
面談のときにはごまかし続けていたが、ここでは言う。「ないですね」と。


なかった。
何でも勢いで手にいれてしまうから、逆に目指すものがなかった。夢などなかった。
そんな毎日で、何を目標に生きているのかわからなかった。

 


そんなときに、天狼院書店の存在を知った。
以前書いた秘めフォトの記事『秘めフォトは脱皮のようなもの』をきっかけに、天狼院書店に興味を持ち始めた。


その書店の名前は、数年前から知っていた。
いつか行きたい書店として、ピックアップしていた。


天狼院書店が他の書店との差別化しているところは、「体験型」というところだと思う。
わたしは秘めフォトから始まり、ライティング・ゼミ、フォト部……と、どんどん「天狼院沼」にハマっている気がする。


秘めフォトに参加しようと思ったのも、ほんの些細なきっかけだった。
初めて名古屋天狼院に行ったとき、書店内で掲示されていた女性の写真から目を離せなかったこと。
それほどまでに、魅力的な写真だった。

 


その秘めフォトでの衝撃的な、常識を覆すような体験のあと、ライティング・ゼミに参加した。
今まで書評は書いていたものの、1度きちんと勉強してみたかったから、タイミングはちょうどよかった。

 


そこで、4ヶ月の受講。16回の課題提出。
正直、課題はキツかった。
今まで自分の中でいつか書きたいと思っていたものは、ほとんど課題提出で昇華(消化)していった。見事なネタ切れもあった。


しかしライティング・ゼミでは、久しぶりに誰かと切磋琢磨できた。 
そして励まし合える場所だった。


また、周りに読んでくれる友人がいたのもありがたかった。
何度か記事に登場している友人はもちろん、相談できる友人もいた。
こんな形はどう? これもおもしろいんじゃない? と話しながら試行錯誤できた。
わたしは周りに恵まれていることを、実感できた。


文章を書いているうちに、自分の得意なジャンルにも気づく。
結局 ほとんどエッセイを書いていたのだが、その中でもこんな書き方だと筆が乗りやすいとか、相手に気持ちが刺さるのか、読みやすいのか。
そういうことを考える機会ができたのは、本当に貴重な経験だった。


講師の先生方はもちろん、一緒に受講していた同期の方々には感謝が止まらない。
今後とも、ぜひ仲良くしていただけると嬉しい。

 


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そしてそのライティング・ゼミで出会った、わたしの夢。
「いつか、自分の本を出すこと」。


思ってしまったら、そう願ってしまったら、もう辞められない。


あぁ。やっぱりわたしは『スロウハイツの神様』(by辻村深月)に影響された人間だ。

 

わたしの中の環がこう叫ぶ。

「世界と繋がりたいなら、自分の力でそれを実現させなさい」


「(前略)私の友達はみんな必死だわ。自分にとって何が武器になるのか。それを考えて、小説を書いて、漫画を描いて、必死に世界に関わろうとしてる。これが自分の武器なのだと考え抜き、これで訴え掛けることができないんだったら、本当に自分の人生はどうしたらいいんだって、一生懸命なのよ。世界に自分の名前を残したい、それを一度夢見てしまった以上は、と今日も机に齧りついている」
(中略)そうしながら、生きていく。この方法で世界に関わりたいと望んでしまったから。

 

この言葉を思いだし、奮い立たせるのだ。


そして数ヶ月前。
10年近く推し続け、応援し続けていた辻村深月さんからお手紙とサイン本をいただいた。
嬉しくて嬉しくて、涙が出た。

「好き」は人を引き寄せ、そして「好き」は立派な原動力になる - Bon Voyage !


そのお返事に書いてしまったのだ。
改めてわたしも、文章を書き始めたと。言ってしまった。


不言実行を美徳とするわたしのボス・環にはきっと怒られるだろう。
しかし、この夢ができたおかげで、道を見つけたのだ。これが生きる支えになる。

絶対に掴んでみせると、ここで宣言させていただく。